「そう言えば、まひろに話していたかな?名前の由来」

「私の名前の由来?聞いてない……」

「『まひろ』って平仮名だけど、最初は『真広』って漢字にしようとしてたんだよ。"真っ直ぐで広い心を持って欲しい"という願いを込めて」

『真広』と書いて『まひろ』

お父さんの名前が『真行(まさゆき)』でお母さんの名前が『広美(ひろみ)
お父さんとお母さんから一文字ずつもらってたんだ。

「でもその漢字だったら『まさひろ』って読み方もできるし、男の子みたいじゃない?だから平仮名にしたのよ、まひろ」

そうだったの……。
妹の『あかり』も平仮名。
弟の『(あらた)』と『(まこと)』は漢字。
私たちの名前にはそれぞれ想いが込められているんだろうな。

「ありがとう、私自分の名前……『まひろ』で良かった」

あ、そういえば。
私は賛成ってことで問題ないけれど……。

「ねえ、新や信、あかりにも聞いた方がいいんじゃないの?再婚の事。私はOKだけど、あの子たちにはいつ言うの?今日?」

「あら、あの子たちならとっくにOKしてるわよ。最大の難関だったまひろが賛成してくれて本当にホッとしてるわ」

え、そ、そうなの……。

「まひろ、今夜はなんのご馳走作るんだ?お父さんとお母さんの再婚祝いだろ」

そっか、今夜は………。

「カレーライスでいい?お父さん」

お父さんが好きなカレーライス。
私が作ってあげるのって何年振りだろう。

「父さんがカレー好きだってよく覚えてたな、まひろ。約10年振りのまひろお手製のカレーライス、楽しみにしてるよ」

ブブブブブブブブブ

主任の携帯のバイブが着信を告げていた。

「もしもし。おお、新か。そっか終わったのか、迎えに行ってやるよ。信も一緒か?そこで待ってろよ、じゃあな」

主任が双子を迎えに行ってくれてるうちに、晩御飯の支度しよう。
あかりもそろそろ帰って来るだろうし。
今夜は久し振りにお父さんも交えての晩御飯で賑やかになりそう!
家族がみんな揃うのって本当に幸せなことだよね……。