だけど。
高柳さんって、魔性の女なんでしょ?
女性から見ても綺麗でスタイルが良くて羨ましくなるくらいだもの。
そんな彼女から誘われて、断ったのはなぜ?
付き合ってたんでしょ?

「確かに付き合ってたけど、会社でそんな密会なんて御免だからな」

「会社じゃなかったらいいの……」

「過去の事だし、もういいだろ。今の俺には、まひろしか……」

思わず伏せてしまった顔を上げられずにいると、主任の長い指が私の顎に添えられた。

クイッと上を向かされ、主任の熱い眼差しに絡めとられる。

「まひろ。俺はお前だけしか目に入らない」

「わ、私…。私もです」

そう、私にだって、主任しかいない。

「まひろ……好きだ」

私も、好きです。
私の唇を主任の唇が愛撫し始めたから言葉にはできなかったけど。

お風呂で温まっている身体のせいなのか、いつも以上に柔らかく包み込まれるようなキスに、うっとりとこの身を任せた。

唇から頬、耳、首筋……。
柔らかい唇の愛撫が続く。
また後ろ向きに背中から抱き締められ、カラダがどうしようもないくらいに熱く火照っていく。

「あぁん……いゃぁ……」

「嫌なのか、まひろ……」

嫌じゃない、嫌なんかじゃないに決まってるんだけど……。
上手く言葉が出てこない。
思考まで溶かされていくよう。

「い、嫌じゃ…ないの。でも……ああっ……このままじゃ……」

主任の悪戯な手の動きが止まらない。
私の言葉を待っているの?

「このままだと、ここで…………欲しくなっちゃう」

お願い、察して主任。
やっと手の動きが止まると、背後でザバーッと激しい水音を立てて、主任が立ち上がった。

ビックリして思わず振り返ったけど、慌ててまた前に向き直る。
だって、至近距離に……。

「先に出て部屋で待ってるから。……あんまり待たせるんじゃねーぞ」

ああもう既に逆上せそうなんだけど。
この火照りを早く主任になんとかして欲しい……。



冷水シャワー浴びて、クールダウンした身体は直ぐに主任にまた熱く狂わされるのだった。