柊と光樹は三国志が好きで、「お金を貯めて中国へ行く!!」と何年も前から宣言していた。そして本当にお金を貯めてしまったのだ。

しかし、柊と光樹は二人してどこか抜けている。落し物や無くし物はしょっ中だ。中国の治安はそれほど悪くはないそうだが、スリが多いと両親は知り、天音に二人の見張りを頼んだのだ。そして、今に至る。

「天音、これ食えよ」

光樹が天音に中華まんを渡す。中華まんは、三国時代に作られたのが始まりだと言われている。中華まんは料理であると同時に、餃子などを用いた和菓子の饅頭のルーツになっているそうだ。

「……ありがとう」

お礼を言い、天音は出来立ての中華まんを口にする。柊と光樹も中華まんを豪快に頬張った。



天音は柊と光樹に連れられて、天安門や故宮博物館、天壇公園などを観光した。柊と光樹に連れられているからか、歴史的な場所へ行くことが多い。

「ここは、明・清朝時代は歴代皇帝の居城として利用されていたんだ」