君の推しより推してください。

普段通り開いている教室に入ると、いつもより明らかに騒がしかった。


小テストでもあるのかなあと思いつつ自分の席へ座ろうとすると、聞き覚えのある声に呼ばれた。

「栞優おはよ!」
『おはよう、ゆり』


私の一番の友人であるゆり。彼女はほぼ毎日テンションが高い子だが今日は一段と目が輝いている。
どうしたのかと聞けばゆりはこそこそと私の耳に口を寄せた。

「知らないの?今日転校生が来るんだよ」
『...転校生?』
「そ、しかもなんと噂によると男の子でイケメン!」

少女漫画みたいな展開だ。そう思いながら興奮しているゆりを見る。

『へ〜』
「あっその顔は心底どうでもいいって思ってる顔だな!?」

その通りだ。
まずイケメンなんてその人の好みにもよるから私にとってのイケメンか分からないし、何より私は同い年に興味がない。

『うん、私は推しの追っかけに忙しいからその辺の同い年の男に構ってる暇なんてないの』
「くう〜〜っ!ブレないねえ」

そういうゆりに苦笑いしながらスマホを開く。SNSを確認すると推しが自撮りをあげていた。

『うっ、ぐ.....』

かわいい...かっこいい...
いろんな感情が混ざり合いダメージ十万。しかも添えられたメッセージは【月曜日だけど頑張っていこう】だ。普通に死ねる。黙ってRTいいねした。

「けどさ、栞優も自分にとってのイケメンは好きでしょ?」
『まあね、逆に嫌いな人いるの?』
「そうそういないと思う!」
『それな』