わたしは、あの日から、どこかがおかしくなってしまったらしい。 ・ 「すげえ」 目の前に広がる、お弁当箱に詰められた色とりどりのおかずに、廉くんは目を輝かせた。 その無邪気さに、また胸がギュン、とするのをこらえて、 「……あの、味は普通なんですけど、えと」 「すごいね栞菜、料理得意なの? 時間かかったでしょ、これは」 「……そんな……」 ほんとは4時間かかった。 廉くんのことを考えていたら、いつの間にか作りすぎてしまった、なんて、 ……言えない。 ・