5時からはじまる甘い罠。




昼休み。



「あ、……あの」



中庭のベンチに座って、男子たちと楽しそうに話していた廉くんは、


わたしの姿を見つけるとそれを中断して立ち上がった。



「ん、どうしたの?」



いつもと変わらない優しい声。



「あの、ちょっと…」



まわりのお友達がいるところで、特訓のことを言うのはどうかと思って廉くんを見ると、


廉くんは、ああ、とうなずいて、



「俺、先に行くから。あとでね」



と友達に告げた。