殺す少女と堕ちる男達 2

“全て”を奪う。成美にとって無くてはならない、大切で大切で仕方のないものを。

成美は彼の目的が何なのか、瞬時に理解した。

「……わぁ、すごい殺気。やっぱり大切なんだね、アイツらのこと」

そう言われて初めて、成美は轟々しい殺気を身体中に纏っている事に気づいた。

今此処で殺してしまおうか。そんな考えが脳裏を過ったが、〝あの人〟の言葉と、そして何より自分の奥深くに居座る感情が、成美の行動を抑制させた。


…今のままでは、‘あの時’の二の舞だ




「…楽しみに待っててよ、成美。俺がお前から、全てを奪ってあげるから。‘お前が俺から奪ったように’」



男はそう言って微笑むと、彼女から刃物を離し、踵を返して暗闇の中へと消えていった。


残された女の周りに、ただただ静寂だけが広まった。