殺す少女と堕ちる男達 2

『………これは、化粧品?』

「あぁ、口紅だ。お前そういうの持ってないだろ」

綺麗で高級感のあるリップだった。蓋を開けると、赤とピンクの丁度真ん中位の鮮やかな色合い。

『……綺麗』

その一言に限った。

成美は化粧品の類を1つも持っていない。そういった物は、興味以前に知識が無いのだ。何しろ給料は全てメロンパンにつぎ込むような女だ。身だしなみより腹ごしらえである。

だから初めて直で見たそれは、神秘的にすら見えた。

だが同時に

「おい、何笑ってんだナル」

『……いや、お前がこれを持ってレジに並んでるところを想像すると、つい』

「笑うな!結構恥ずかしかったんだからな!」

『フッ…ありがとな、瞬』

「チッ、おーよ」