『………貧血か?』

「……あぁ、昔からでな。たまになるんだ。迷惑をかけてすまなかったな」

男性は水を飲み終えると、また状態を横にさせて言った。

『…いや、気にするな。貧血なら足を高くすると脳に血が回って良いらしい』

成美はそう言いながら、自身のカバンを男性の足の下に引く。

「…すまないな」

『……こういう時は礼を言うんだ』

「フッ…そうだな。ありがとう」

『…どういたしまして』


それから30分程男性は休み、成美も隣のベンチに座って様子を見ていた。

「もう大丈夫だ。わざわざありがとう」

『……いや、丁度休もうと思ってたところだったんだ。それより歩いて平気か?』

「あぁ、もうなんともないさ」

確かに男性の顔色は、先程よりずっと優れている。