光一は、なんだかんだ言いながら、私達と千桜の奴らの予定を遮ったりは絶対にしなかった。旅行だって何故か猛反発されたが、最後には約束を取り付けて行かせてくれた。

いや、行かせてくれたっていう言い方は何かおかしい……、光一がお母さんみたいだ……。いや、お母さんなら咲夜の方が良い。うん、絶対にそうだ。咲夜は何気に料理だって上手いし……

…………ってそうじゃねぇ


まぁとにかく、全て光一の優しさだってことだ。

部屋で一緒に過ごすことはあったが、外には一緒に遊びにいけていなかった春馬との機会も同時にくれた。



自然と口角が緩む。

『…………ありがとな、光一』

「……おう」

光一は、私が気がついている事にすら気がついているのだろう。

それでも尚、当たり前だとでも言うような顔をして返答する光一に、更に口角が緩んだ。