「あ?んなもん、あいつらに旅行行くって知られたらうるせーからだよ。最悪、樹と瞬辺りに止められ兼ねねぇ」

そしてまたもや、光一は当然のようにそう言ってのけた。

なぜ止められるのかはさておき、煩いのは確かだろう。特に啓太辺りが騒ぐ。あいつは良くも悪くも、直ぐに情報を広めるのが大の得意だからな。

『……そにしても、昨日の夜とか、私に言いに来れば良かったろ』

「いや、昨日の夜は忙しかったんだよ。なんでも今日と明日分の仕事全部終わらせたんだからな」

『……徹夜?』

「おーよ」

通りで目の下にバッチリと黒い痣ができてるわけだ。

もしかしたら光一は、私に日程を合わせたのかもしれない。いや、日程どころか予定まで合わせてくれたのかもしれない。日程が空いていても、最近は千桜の奴らと絡むのが多かった。補習や居残りもあったし、勿論仕事だってある。なので、実質最近の予定は一杯一杯だったのだ。そんな中で、久しくできたフリーダムな1日。それを知って、光一はわざわざ私に予定を合わせ、仕事を終わらせたのだ。きっと。

光一だって休みの日が無いわけじゃない。勿論連休だってある。なのにわざわざ仕事がある日に、次の日の分まで終わらせてトンズラしてきたのだ。

そうとしか考えられない。