………………

『……んで?どーなってるんだ?』

ここは車内。位置は助手席。言わずもがな光一の車だ。そして何故か後部座席には春馬が寝ている。 過ぎ行く景色を横目で見ながら、やっと通常に働くようになった頭を使う。

「あー、あれだ。温泉いくぞ」

そんな私に、光一はさも当たり前のように返す。

……いや、ん?、や、良いんだけどさ、なんかおかしくね?

『…………約束してたか?』

「あぁ?忘れたのか!この前俺と温泉に行きてぇって泣きながら騒いでたじゃねぇーか」

『記憶にねーな』

いや、約束をした覚えもなければ、泣き叫んだ覚えなんてもっと無い。………………………………………………………………………………いや、約束した覚えならあるかもしれない…

2ヶ月くらい前、夏休みの時、千桜のヤツらと旅行に行くって言った時に、光一とも何処かへ一緒に行くと言った気がする。

あぁ、だから同じような約束をしていた春馬も居るのか………………だが……

『…………いや、でもこんな時間に出ることは無くね?』

そう、時刻は4時45分だ。因みに先程からは15分かかった。つまり私は今、起きてから15分しか経ってない訳だ。