ガチャ

「入るぞー」

そう言って部屋に入り、私が眠たい目を擦りながら、わけも分からずに言われるがまま纏めた少し大きめの荷物を確認する。

「なぁ、ちゃんと下着入れたか?お前瞬達と行った旅行には下着忘れたんだろ?あいつに聞いたぞ。同じ轍は踏むなよー。まぁ別に、俺は全然それでも構わねぇけど」

『………………』

「あー、なんだ?まだ寝ぼけてんのか?」

沈黙を貫く私のすぐ目の前に、光一の顔が迫る。

ちょっと黙ってくれ。私は今、少しづつ鮮明になってきた頭で状況を整理中なんだ。

私は光一に叩き起こされた。この際勝手に部屋に入ってきたところは突っ込まないでおこう。そして寝惚けたまま、言われた物を言われるがままカバンに詰めた。詰めたものは、洋服やら歯磨き粉やら洗顔やら。
今思えば生活用品ばかりな気がする。

そして光一がクローゼットから選んだ服に着替えた。この際勝手にクローゼットを漁ったことも、まぁ突っ込まないでおこう。因みに着替えている時、光一は部屋の外に出ていた。そして部屋に戻ってきたのが今現在の状況だ。

…………………………

『…………何がどうなってるんだ?』

「やっぱまだ寝ぼけてんなー、こりゃ。まぁとにかくさっさと行くぞ」

尚状況は読めないが、光一が私のカバンと私の手をとって歩き出すので、考えるのはやめ、黙って着いて行った。