殺す少女と堕ちる男達 2

『……あいつらは居ないのか?』

「あぁ、他の奴らはまだ中にいるぞ。俺は用事があって先に出てきたんだ」

『用事?』

「あぁ」と言いながら、私の横まで歩いてくる。そして、2人並んだところで止めていた足を動かし始める。

「母さんとこに行くんだよ」

『あぁ、成程』

「最近忙しくて行けてなかったからな」

そういった拓哉の横顔は、とても優しげだった。

拓哉は本当に良い奴だ。

と、そんな事を考えていると、不意に拓哉が、何かを思いついたように私の方を勢いよく向く。

「おい成美、これから暇か?」

『……まぁ、予定ねぇけど』

「よし!なら一緒に来い!母さんがお前に会いたがってんだよ」

確かに、拓海と初めて会った時から、時間が無くて1度しか会いに行けていない。

『……そうだな』

そう言うと、拓哉は嬉しそうな顔をして、「んじゃ行くぞ!」と言いながら私の手を引いて歩き出した。