薄暗くて、人気のない場所だ。

学生はおろか先生もめったにこない。

先輩はいつも、そういう場所に呼び出す。

存在していることがあまり知られていない校舎裏だったり、ほとんど使われていない旧校舎だったり、体育祭以外は縁がない体育館倉庫だったり。

デートも、外出なんて論外、おうちデートだけ。

でも、私はそんなに気にしてない。

恥ずかしがり屋の先輩との付き合いは、普通の人より少し難しいかもしれないが、その分いつもは見せない表情をするから。

「あ、こっちだよ!」

最上階の踊場で手を振る先輩。

あのメールの送り主とは思えない、まるで少年のような純粋な眼差しをしている。

「はーい、今いきまーす!」

私も手を振って、小走りで階段を登った。