思いがけず頭に浮かんだそんなイメージに美鈴はふっと軽い笑みを浮かべた。

 ……何を考えているのかしら。わたし。

 美鈴の微笑みを認めたジャネットが何かを言いかけようとしたその時。

 階段を急いで上がる靴音が聞こえ、続いて美鈴の部屋のドアがノックされた。

 何事かとジャネットは美鈴は目を見交わしたが、急いでドアに駆け付けて廊下に出た。

 厚いドアに遮られて、外の会話は美鈴の耳には届かない。

 何があったのか皆目見当もつかないまま、美鈴はドアを見守った。

 ジャネットがドアの向こうに消えてしばらく経った後、再び階段を下っていく足音が聞こえた。

 それとほぼ同時に、ジャネットがドアを開けて美鈴の元に戻ってくる。

 こころなしか、ジャネットの頬はピンク色に上気し、瞳は輝いているようだった。

「お嬢様、素晴らしいお知らせですわ……!」

 彼女には珍しく興奮した様子でジャネットは美鈴の手を取ると、椅子から立ち上がらせながらそう言った。

 今にも手を取ったまま踊りだしそうな喜びようだ。

「伯爵家の御曹司から、お手紙が来たそうです。 ……ぜひ、ミレイお嬢様とお話がしたいと」