驚いて、こちらを見たリオネルとは視線をあわせずに、ごく小さな声で彼女は言った。

「さっきは……ごめんなさい。泣いたりして」

 その言葉を受けて、リオネルが浮かべた表情を美鈴は知らない。

「……気にすることはない。君と一緒にいられた。それだけで俺は、いい」

 その労わるようにやさしい声音は、それから長い間、美鈴の耳底に残ったのだった。