やっとそれだけ言った美鈴はリオネルのまなざしに射抜かれて視線を逸らした。

 心臓がバクバクと激しく鼓動する音が耳に響いている。

 リオネルに触れている手が、肩が、頬があっという間に熱をもってしまった。

「……はな……して!」

 恥ずかしさに耐えきれずに目を閉じてしまってから美鈴はやっとのことで呟いた。

 見えてはいないのに、瞼のむこうに自分をひたと見つめる彼の視線を感じてしまう。

「嫌だ」

 美鈴はその返答に思わず目を開けてリオネルの顔を見た。

 そう答えたリオネルには普段の茶化すような調子は一切なく、ひそめた眉や引き結んだ唇が彼が本気であることを伝えていた。