『…ああ…この前、樹が柚葉を好きって聞いて、僕は応援するつもりだった。でも…やっぱり、僕は柚葉を愛してるんだ。だから…もう一度、やり直したくて』


スマホの向こうの樹は、何て言ってるんだろう?


『わかった、今夜。マンションに行くよ』


柊君は、そう言って、スマホをカバンに入れた。


『仕事が終わったら、樹のマンションに行ってくるね、話し合ってくるよ…』


樹を好きだってことも、一緒に住んでることも…


言えばいいのに、なぜか言えなかった。


柊君を…悲しませたくない…って、変な同情なのかな。


話せば、ショックを受けるのかな、柊君。


だって、樹は、大切な家族なんだもんね…


弟と元婚約者が、自分と別れて、こんなすぐに付き合ってるとか…


やっぱり、びっくりしちゃうよね…


でも、今夜、樹のマンションに来たら…全てがわかる。


それで、良かったのかも知れない。


その時に、全て知ってもらおう。


私の正直な気持ちも…