その部屋には、沙也加さんのご両親、弟さんもいて…そんな中、樹さんは続けた。


『綾元社長には、大変お世話になっています。お嬢さんの沙也加さんにも、モデル時代は友人として、仲良くして頂きました。沙也加さんには…私を気に入って頂いてるようですが、私には、結婚を心に誓った大切な彼女がいます。どうか…ご理解下さい』


樹さん…すごく誠実な印象だ。


お芝居だけど、結婚を心に誓った大切な彼女なんて…


そんなこと言われたら、胸がキュンキュンしちゃうよ。


『お父様、樹と柚葉さんがお似合いだと思う?こんな地味な人より、私の方が』


『沙也加。黙りなさい。それは、間宮さんに失礼だ。素敵な女性じゃないか』


『お父様…』


沙也加さん、とても悲しい顔をした。


『社長、本当に…申し訳ありません。ですが、私は、沙也加さんには幸せになって頂きたいと思っています。その相手は…私ではありません。沙也加さんなら、もっともっと素敵なお相手が見つかります』