料理をゆっくりと1品1品味わい、とても幸せな時間を過ごした。


そんなにうるさいルールもなくて、食事を楽しめて良かった。


きっと、お店の方の温かい気遣いと、樹さんのサポートのおかげだな。


『すごく美味しい。こんなに綺麗なお料理があるなんて…お皿に絵が描かれてるみたい』


普段言いなれない言葉を、思わず言ってしまった。


ちょっと恥ずかしい。


一通り食事も終わり、最後のデザートが運ばれて来た時だった。


『樹!!』


その声に振り向くと、そこには沙也加さんがいた。


どうして?


こんなところで会うなんて…


うわぁ…沙也加さんのドレスアップした姿、本物のお嬢様だ。


嘘みたいに綺麗…


隣に並んだら、私なんて、霞んで見えないかも。


『樹、どうしてここに?』


『柚葉と…食事に来た』


沙也加さんも知らないってことは、本当に偶然?