『クズだね』


真奈が、言った。


『好きなように言えばいい。柚葉ちゃん、君みたいな低俗な女、こっちから願い下げだよ。二度と君を構うことはない。僕には、もっと、レベルの高い女性がお似合いだからね』


『早く出て行け!』


樹さんが、怒鳴った。


『樹君、君に1つ忠告しておくよ。アメリカでは成功したか知らないが、日本はそう甘くない。君みたいな男に、この会社の社長を務めるのは無理だ』


『…社長は、柊だ。俺が社長になることはない。そして、お前もな』


樹さんは、私と真奈を部屋から出してから、自分も出て、ドアを閉めた。


閉める瞬間、怒鳴り声と共に、専務が強く机を叩く音が聞こえた。


『真奈、ごめんね。真奈には、いつも助けてもらって…』


まだ震えがおさまらない。


『いいよ、そんなこと。柚葉が専務と出て行ったのが、チラッと見えて、すぐ戻らないから心配になって電話したんだ』


『そっか…ありがとう…本当にありがとう』