ようやく、視線を私からそらせて、樹さんは歩き出した。


どうしよう…


ドキドキが止まらないよ…


こっそり何度か深呼吸して、何とか、呼吸を整えようとしたけど…


なかなか治まらなかった。


樹さんに、この胸の高鳴りがバレてないか心配だ。


私達は、やっと駅に着いて、切符を買って電車に乗り込んだ。


樹さんは、わざわざ、私の最寄り駅まで一緒に電車で来てくれた。


『今日はありがとうございました。また明日、会社で』


『ああ…明日。あの…さ』


樹さんが、何か言いかけた。


私は、その先の言葉を待った。


『いや、いい。今日はゆっくり休め。明日からもプロジェクト頼む』


樹さんは、改札をくぐって、後ろも振り向かずに帰って行ってしまった。


今、何を言いかけたの!?


中途半端過ぎて、モヤモヤする。


でも、もう聞けないよ…


仕方なく、私は部屋に入った。