この教室はなぜかやけに広い。 教室2つ分くらいはある。 キョロキョロしながら部屋の奥に進んでいくと、私の足はピタリと止まった。 ───そこには、グランドピアノがあった。 思わず目を見開いてしまう。 心臓が心拍数を早めていき、胸が苦しい。 止まっていた足が、惹き付けられるようにそれに近づいていく。 それはもう、少し手を伸ばせば届く距離にある。 (だめ…触っちゃ…) そう思い、ピアノから離れようとするが体が言うことを聞かない。