蒼司「…良い大きさだな。」

『………』

蒼司「何故頭を抱えている…?」



…不動産屋に行き、家を選んでいた彼。

家の選び方など僕には分からず、どうすればいいのかとボーッとしている内に彼は家を決めたらしく。

“行くぞ”の一言を聞き我に返り、仕方なく彼に付いていくことにした。

…そして着いた先には、昨日ほどではないとは言えかなり大きい家があって。



『どうして二人で住むのにここまで大きいところを選んだんです??』

蒼司「小さいよりは大きい方がいいだろう。」

『セレブかっ!!』



何だ、何なのだこの人は一体。

そう思いながら頭を抱えていると、彼はそれを無視して家の中に入っていく。

置いて行かれるのは勘弁だったためついて行くと、やはり中もかなり大きく…今すぐにでも出て行きたくなるくらいだ。

何度目かになるが、僕の家庭環境はどうも普通ではなかった。

家もハッキリ言ってしまえば、どちらかと言って貧乏な方。

だから軽く貧乏性な所があるのだろう…使えるものは再使用、みたいなタイプだ。

だからこそ、このように立派な家に住むのはもったいないというか色々思う所はあるというか。

だが何と言った所で彼の意見が変わるとは思えない。

もう諦めるしかない、と早くも彼に対しての諦めを覚え、黙ってついていくことにする。



蒼司「…まあ良いな。」

『…あの…聞きたいことがあるんですけど…。』



このままでは色々と埒が開かないと考え、昨日から思っていたことを聞いてみることにする。

声を掛ければ思っていた通り、返事はしないがこちらを見ている。



『…“種”って、いくつもあるのは分かったんですけど、形は分かってないんですよね?』

蒼司「ああ。」

『それ…例えば“こんな形”とか、そういう例的なものとかはないんですか…?』



そう聞けば、やっと興味を持ったのかと言いたげに少し嬉しそうな顔をした後、彼は答えた。



蒼司「あんたは既に“種”を一つ持っている。」

『………は??』

蒼司「その首飾りだ。」



…あまりに突然なその言葉に軽く固まる。

これはただ力が戻った時に本領発揮をするネックレスだったわけではない。



…“種”だから、共鳴をした…?



少しずつ、不思議だったことのピースが当てはまっていく。



…なるほど、そーゆーことだったんだね。



僕もそこまで馬鹿ではない。

理解することくらいは出来るのだ。