蒼司「選べたか?」
『あ…はい、選べました。』
そう言いながら着替えたあとに出て行く。
蒼司「白が好きなのか?」
『…まあ、はい。』
ついさっきまでかつての友人のことを考えていた僕には、その問いに元気に返事することは出来なくて。
少し暗めの返事をしてしまったかと心配になるが、元々明るい対応をしていたわけでは無いことを思い出して少しホッとする。
過去の僕はとりあえず明るくしていた…その頃に比べてしまえば、かなり素で居られる今は凄く楽なものになっている。
蒼司「他に好きな色はあるのか?」
『…あなたのその目の色は好きですよ。』
蒼司「…青?」
『はい。』
イメージカラーと言われていたもの。
どうしても頭から離れないそのことだが、そう言われる前から青が好きなことに変わりはなかった。
だから良いのだ、ここまでなら言うことくらいは出来るのだ。
蒼司「…他意がないのは分かっているが、好きと言われるのは嫌な気持ちをしないものだな。」
ほんの少し頬を染めながらそう言う彼は、何だか可愛くて。
ああ、この人照れ屋疑惑あったな、なんてかなり他人事に思いながら彼の照れ臭そうな顔を見つめる。
蒼司「…何故そんなに見る。」
『人のこと揶揄わずにいつもそれならきっと普通に良い人なのになって思っただけですが。』
蒼司「失礼なことを言っている自覚はあるのか?」
『あなたにだけはそれを言われたくはありませんかね。』
普段失礼なことを言ってくる彼にそんなことを言われる筋合いはあるのだろうか。
少しくらいは僕からも何かを言わせてくれても良いと思うのだが。
蒼司「…まあ良い、とりあえず何処か家でも買うか…」
『買う!?』
蒼司「そのくらいの金はある。」
…待て待て、いくらお金があっても世界飛ぶ度に買ってたら底を突くでしょ…。
そんなことを思うものの、彼は当たり前と言いたげな顔をしている。
一体どんな生活をしてきたのだろうか、彼は。


