蒼司「人幻界は、何度も言うが人間と幻獣がともに生活する世界だ。侵入者に対して何かを思うことはないと言えど、時に人を食おうとする者も現れる。侵入者なら食った所でバレない…そう思う者も少なくはない。」
そう真剣に話す彼は、まるでさっきまでとは別人で。
普段からこうしていれば良いのに、なんて相変わらず雰囲気とは違うことを考えてしまう。
そんなことを考えていると、彼は急に僕の方を見つめる。
『…あの?』
蒼司「…あんたは見た感じは普通の人間だからな。もしそう言った奴らに見つかってしまえば、格好の餌だろう。」
この人今凄い怖いこと言ったかな??
余りのとんでも発言に彼を見つめると、彼は腕を組む。
何かを考えているのだろう、流石に今その思考を邪魔するほど僕は馬鹿でもない。
蒼司「…匂いなら人間から遠ざけることも…いや…。…仕方がない…この世界に売っているものを着ることで少しは匂いを此処に馴染ませる事が出来るかもしれない。買おう。」
結論が出たのか、そう言いながら納得したように頷く。
一人で納得するのは最早この人の癖なのではないか。
…いや、こっちは全く理解出来てないですよ。
僕の気持ちを少しは考えてはくれないだろうか。


