守る理由。


それだけ言って走る。

何故か璃奈さんの僕を呼ぶ声が聞こえたような気がしたけれど、それを無視して走る。

少し先に行ってから、夕焼けに染まり始めた外を軽く見る。

…一人になりたい、出来ることならば…



『…このまま一人、紅に消えてしまいたい。』



…きっと僕は必要のない存在だ。

家族からは昔から必要となどされず、中学の時までずっと友人も居なかった…そんな僕でも、高校に入ってやっと友達が出来て。

そんな友達にも、嫌われてしまったんだ。

煌くんは転校生だった…だから、何があったかも何も知らず…僕と関わってくれた…。

でも、あれを聞いてしまえば、きっと僕のことを嫌いになるだろう。



『…もう、無理、だなぁ。』



笑うのは得意だった。

笑うことでみんな離れず、同じように笑ってくれたから。

頼らないでいるのが癖だった。

誰かに迷惑をかけることで、離れていくのが怖かったから。