『…僕にしか、出来ないこと…?』
「そう。」
そこまで言うと、彼女は強く意志のあるような瞳を僕に向けた。
「このエレベーターが止まったら、隣に道があるからそこを真っ直ぐ進んで欲しいの。それで、何が現れたとしても、戻って来ることなく…一番奥まで行って。そうしたら左ではなく右へ曲がってね。一度そこに辿り着いたら…戻って。さっきまで乗っていたエレベーターの位置へ…。そして少ししてから…ううん、もっと遅くていい…今日中でさえあれば良いから、もう一度一番奥の右へ行って。…そこで、彼は待っている。」
一気に言われ、整理しながらも考える。
『…あの、彼って…?』
「会ってみれば分かるわ…会わないと分からないと思う。」
…知っている人なのか、それとも知らない人なのか。
それさえも分からない状態で、僕はそれを実行するのか。
そう思うと、一気に不安が襲ってくる。


