初代が犯した3件目~7件目。

秋の横浜の時よりも遡る、
“35年前”という過去。


残念ながらほとんどの被害者の方は既にお亡くなりになっていたが、

6件目の被害者・・初代の“顔を見た”と当時証言した男性と連絡がついた。



「お電話差し上げた、
警視庁の神野と申します。」


「山本です。よろしく。」


今日は夕方から雨がぱらつく予報の曇り空。


でも・・ついていた杖を横においてベンチに座ったその人は、

サングラスをかけていた。


「散歩の終わりに、

この公園のベンチに座って子供達の“声”を聞くのが日課なんです。

・・・なんでしょうね・・。

老い先短くなったこの歳でも、
無邪気に遊ぶ子供達の声を聞くと、

それだけで元気がもらえるんです。」


「その目は・・後遺症ですか・・?」


「はい。スプレーをかけられただけでなく、
硫酸が少し目にも入ったようで、

私の右目はほとんど見えていません。
左目も弱視と診断されました。」


「報道で知ったかと思いますが・・

35年前、あなたから光を奪った硫酸魔がまた現代に現れました。」


「・・もう・・私のような被害者は、

二度と生まれて欲しくないと願っていたんですがね・・。」


「あなたの心の傷を抉ってしまうかもしれない。それでも力を貸して頂けますか?」


「勿論です・・。
私が覚えている事は何でも話します。」


「ありがとうございます。」