最底辺  小松 サトミ

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14歳から続いた引きこもり生活に幕が下りたのは、突然だった。


“お父さんが倒れた”


病院に着いた時、
お父さんはもう動かなかった。


いつも私を暖かく抱きしめてくれたその体は、もう冷たくなっていた。



「・・・・・・・・・・・・・・。」




壊された心に、
もう涙を出す感情は無かった。


急性心筋梗塞という病名も、

倒れた直後から意識を失うまで、

ずっとお母さんと私の名前を呟いていた事もどうでも良くて、


ただ漠然と、私が働かないとダメだよね?
と明日からの生活の心配をしていた。




体が弱いお母さんを働きに出すわけにはいかない。


無理して働いたお父さんが倒れ、
この上お母さんまでも倒れてしまったら、

私は両親をこの手で殺したも同然。

だったら、私が倒れればいい。


どうせ高校にも行かないでただの肉の塊として生きてくぐらいなら、

せめてお金を生み出して、
勝手に倒れればいい。






お父さんが働いていた土建屋に行って、

17歳です。
何でもします。
お父さんの代わりに雇ってください。


社長さんにお願いしたのは、
葬儀が終わって二日後の事だった。