こ、これはいったいどういう状況?


朝から、なんて、甘い雰囲気。


私と彼の間にかつてこんな空気が流れたことなんて一度もなかったのに。


だから、余計に緊張して動けなくなっていた。


なんだろう、彼に包まれたら頭の芯がぼんやりして、それになぜだかホッとする。


心がフワッとして、全身に電気が走ったみたいになるんだ。


「つむぎ、冗談だ。そんな顔するな」


ちょっと残念そうに呟くと彼は私を残して、部屋を出て行ってしまった。


そっか、冗談だったんだ。


「アハハ」


乾いた笑いがこぼれた。


御曹司ジョークってわかりにくいなぁ。