一途な御曹司と16歳の花嫁

「あ、はい。でも読書は」


「おまえに邪魔されたからやめた」


ひー、読書をお続けください。私にはお構いなく。


なんて言えるわけもなく。


おずおずと、布団に入ろうとしたら大きな手に腕を掴まれて強い力で、ベッドに押し付けられた。


「きゃー」


「バカ、大きな声を出すな」


威圧感のある彼のよく通る声に、すっかり怖気付く。


「だって」


彼が私に覆い被さっていて、少し重い、そして死ぬほど恥ずかしい。


ガタガタと体の震えが止まらなかった。


生まれて16年間、男の人と付き合ったことすらない。


そんな私が、いきなり初夜を迎えるなんて未だに信じられない。


しかも、相手が伊織さまだなんて。


「つむぎ、俺が怖いのか?」


はい怖いです、もの凄く。なんて本音は言えません。