「それと先ほどは大変失礼いたしました。坊ちゃんはあのように不器用なご性格なので、私も一芝居打たせていただきました」


一芝居って。かなり怖かったんですけど、と今は言い返す気力もなかった。


「ではこれからよろしくお願いしますよ。若奥様」


彼は、意味ありげに片方の眉を上げてじっと私を見てから部屋を出て行ってしまった。

何かまだ言いたいことがあるような顔をしていた気もするけど、南さんの相手をするのは骨が折れそう。


さっさと部屋を出て行ってくれて助かった。


私はようやく一人になれてホッとしていた。