一途な御曹司と16歳の花嫁

「よし、書けたな」


言ってすぐに彼は私からペンをとり、夫の欄にサラサラと記入し始めた。


ペン習字のお手本よりも綺麗な字に思わず息を呑む。


並んだ私達の文字は滑稽なくらいに完成度に差があった。


なにより、物凄く不釣り合いに見えた。


「あっ、もう一度書き直してもいいですか?」


「どうして?」


「だってあんまり綺麗に書けなかったから」
 

「そうか?別に字なんてなんだっていいじゃないか」


「で、でもぅ」


なんだかこのちぐはぐな文字のバランスが、私達そのものをあらわしているみたいで、だんだんと頭が冴えてきた。


急に、現実に戻されたというか。


「やっぱり、こんなこと勝手にしちゃったらいけないんじゃ」


「大丈夫だ、未成年だから親にも同意して貰わなきゃいけないしちゃんとつむぎのご両親にも納得してもらうから」