一途な御曹司と16歳の花嫁

だけど次の瞬間私は彼のたくましい腕に強く抱きしめられ息もできなくなった。


心臓が、バクバクと早鐘を打つ。


私、どうしてあんなことを言ったんだろう。


どうして、結婚するだなんて。


そして、パチパチと手を叩く音を夢の世界の出来事のようにぼんやり聞いていた。


「伊織さま、お見事です。南は感服いたしました」


執事の南さんの先程とは打ってかわったような明るい声がしてもまだ私は夢から覚めなかったんだ。
 

彼に抱きしめられ身体はガタガタ震えているのに、なぜだろう心は不思議と暖かい。


まるで、本来かえる場所にかえってきたかのような例えようもないくらいの安心感に包まれていた。

これは全て夢だ、夢なんだ。


まだ信じられない出来事は確実に現実に起きていることだと、理解するまでに時間がかかった。