一途な御曹司と16歳の花嫁

話しながら、私に一歩づつ詰め寄る南さんから後ずさりした。


伊織さまの方を見れば、まだこちらに背を向けたままピクリとも動かない。


私に伊織さまと結婚しろだなんて。


そんなこと、わけがわからないよ。


第1、伊織さまだってそんなことを望むはずがない。


「つむぎ様、自分のお立場をよく考えてください。入院中のお父様や留学先の弟さんの行く末はあなたの返事次第で決まるのですよ」


え?南さんは、この人は何が言いたいのだろう。


まさか私、今脅されてる?


「お父様はあのお年で持病もあり、このご時世、再就職先も見つからないでしょうね。弟さんも留学先で仕送りが途絶えたらさぞお困りになるでしょう」


容赦ない言葉を浴びせられブルッと震えがきた。


「弟さんは、確か直樹くんでしたね。大変優秀な若者です。その将来が閉ざされるなど、見るに耐えません」