礼儀作法やお茶やお花、なぜかお琴のレッスンなんかもあって大忙し。


だけど、1番苦手なのはお勉強。


高校の成績は新海家の嫁として恥ずかしくないレベルを求められたので、私にも家庭教師がついた。


だけど、このくらいのことで根をあげるわけにはいかない。


私だってイオくんの奥さんとして恥ずかしくない女性になりたいから。


それが彼が私にくれた限りない愛情に応えることにもなると信じていた。


「姉ちゃん、まごにも衣装ってこのことだな」


イオくんから借りたスーツを着て私の前に立つのは、弟の直樹(なおき)。


留学先からこの春帰国してきたばかりの弟は背が伸びてすっかりたくましくなっていた。


ちなみに我が弟ながら母親似の可愛らしい顔立ちで人懐っこい性格。


イオくんとも大の仲良しだ。


「姉ちゃん、感謝しろよ。俺がキューピットだってこと忘れるなよ」