南さんはわざとらしい咳払いをコホンとして、離れなさいと目で合図する。


「ここに婚姻届がございます。
今度こそ南が役所へ持って参りましょう」


南さんはポケットから取り出したあの婚姻届を私達に広げて見せた。


「待て、それは俺が持っていく」


「ちゃんと自分達で持っていきますからっ」


イオくんと私は南さんに噛みつかんばかりの勢いで叫んだ。


「はあ、そうですか、2人ともどうされましたか?顔が怖いですよ」


シレッと言って、南さんは肩をすくめるのだった。