「離して、伊織は自分がしたことの意味を
わかっていないのよ。
こうでもしないと、篠田さん達に申し訳が立ちません」


「奥様、奥様、どちらが悪いというわけではありません。伊織さまも反省しておられますし」


うちの父も必死に奥様を止めようとするけどなかなかお怒りがおさまらない。


「いいえ、許しません、南、伊織をつまみだしなさいっ」


「は、承知いたしました」


南さんは返事をするとイオくんにツカツカと歩み寄る。


「おかえりなさいませ、伊織さま」


だけど、南さんがなぜか深くお辞儀をするからイオくんは戸惑っている。


「あ、ああ」


そして南さんがイオくんの目線の高さに手を伸ばした。


そのままイオくんの頬に触れて柔らかく笑う。


まるで可愛い弟をいつくしむみたいな優しい目をして。


「いいお顔になられた」