どれほど、心配をかけてしまったんだろう。


どれほど、悲しい思いをさせてしまったんだろう。


そう思うだけで、胸が張り裂けそう。


新海家の奥様も私達を見て、ハンカチで目頭おさえている。


「伊織っ」


そして、新海織江さまはイオくんの前へ近づくとパシンとその頬を叩いた。


あまりに綺麗な音がして、ギョッとしたけど
イオくんは逃げないで直立不動だ。


そして、2回目の平手打ちも甘んじて受けていた。


「・・・っ」


こんなに般若のごとく怒っている奥様を見たのは初めてだった。


いつもおっとりしている奥様からは想像がつかない形相。


3回目は拳を握りしめて息子の顔を殴ろうとしたけれど、後ろから旦那様に止められる。


「もう、いいだろう。織江、そのくらいにしなさい」