そんなことも知らずにすっかり薔薇園が気に入った私はポストカードやら花の苗やらを買ってもらっていた。


「クソッ、なんで俺の懐具合まで見透かしてやがるんだよ、あいつは。ほんとにムカつく」


悔しそうに唇を結ぶイオくんは、でもどこか嬉しそうに見えた。


やっぱり、イオくんにとって南さんは特別な人なんだな。


そう思って彼を見たらクスクス笑ってしまった。


実は私だって、あの南さんがイオくんのことを深く気にかけていることが嬉しかった。


「つむぎ、おい笑うなよ」


苦笑いするイオくん。


「つむぎちゃん、伊織には金のやりくりなんて無理無理。生まれながらのお坊ちゃんなんだから」