「伊織様がつむぎ様と、駆け落ちをしたので迎えに行ってやってほしいって。
多分ここにいるはずだって、あの薔薇園の場所を教えてくれてさ」


「南が・・マジか」


イオくんは困惑したように目を見開いている。


「俺らも半信半疑だったんだけど、ほんとに会えたからびっくりしたよ」


「伊織、おまえ体のどこかに発信器でも埋め込まれてるのか?」


「いや、そんなはずは」


だけど、真剣に背中やお腹をさするイオくん。あの南さんならやりかねないと思ったのかも。


「それに、あの人こんなことも言ってた。
そろそろ帰る決心をする頃だろうし、所持金も残り少ないだろうからって」


「う、なんだよ、クソッ。南のやろう」


イオくんがポケットから取り出したお金は、残り1230円。


とても自宅までの旅費はまかなえない。