一途な御曹司と16歳の花嫁

「俺は、そんなつもりじゃなくて。つむぎが笑った顔が見たいだけだ」


伊織さまが、恥ずかしそうに瞳を揺らしたから、私は慌てて南さんに反論した。


「南さん、伊織さまにそんな無礼な言い方はやめてください」


さっきから思っていたけど、南さんの伊織さまに対する物言いは、ちょっと不敬なような気がした。


南さんは肩をすくめて私を見返すけれど、無表情で何を考えているのかよくわからない。


「知りませんよ、つむぎさん。そのお方を甘やかすと手がつけられなくなりますよ」


「で、でも。伊織さまに失礼なことを言うなんて許されることじゃありません」


「あなたは、お父上以上に頭の固い人だ。いや、純粋なのかな。まあ、坊ちゃんはそこが気に入ってらっしゃるようですが」


淡々と話す南さんの目は笑っていなくて、底の知れない人だと思った。