すぐ後ろでブレーキ音がしたかと思えば、中から2人の男性が降りてきた。


私は離されまいと彼にギュッとしがみついて、身を固くし目を瞑る。


「おー、仲がいいねー」


「そりゃ、手に手をとって駆け落ちしちゃうくらいだからな」


聞き覚えのある声にハッとして、後ろを見れば見覚えのある美青年が2人。


「なんだよ、お前らびっくりさせるなよ」


「伊織ー、びっくりしたのは俺達のほうだぜ」


眼鏡の奥から理知的な瞳を覗かせるのは二階堂さん。


「まったく、水臭いよな。こういう時こそ俺らを頼ってくれたらいいのにさ」


不満げに唇を尖らせる立川さんは相変わらず、女好きしそうな男の色気がある。


「それは、まあこの先どうなるかわからなかったしお前らの家に迷惑をかけたくなかったんだよ」