だけど、あなたとなら一緒に前を向いて歩いていける。


あなたなら、信じられる。


「帰ろう、なんとかして俺達が真剣だって気持ちを聞いてもらおう」


彼の声は明るく弾んでいた。


「うん、家へ帰ろう」


言って彼は私の太ももの後ろに両手を回して抱き上げる。


「わっ」


立ったままの体勢で高く抱き上げられたから薔薇園が見渡せて壮観だった。


顔を見合わせて微笑みあったら、私から彼の柔らかい頬にチュッとキスをした。


ああ、やっぱり私は彼が大好きだと思った。


私のせいで、彼の人生から幸せのひとかけらも零れさせたくない。


決して彼を不幸にはさせたくない。


だから私はそっと薔薇の花に願って、そして自分自身にも誓ったんだ。


たとえどんな結果が待っていようともこれだけは、譲ってはいけない。



薔薇達は愛し合う私達を優しく見守ってくれていた。