2人の影がひとつになって繋がっているから、見惚れてしまう。


その影を見ていたら懐かしい気がしてきた。


あれ、以前にもこんなことがあったような気がする。


「イオくん、もしかしたらだけど子供の頃、こんな感じで私をおんぶしてこの道を歩いたことある?」

 
「あー、なんだ、覚えてたのか?びっくりさせたかったのに」


「おんぶしてくれてたことだけ思い出した。
場所まではまだわからないけど」


「そっか」


彼は安堵したように優しく笑う。


「じゃあ俺がいいって言うまで目を瞑ってて。もうすぐそこだから。」


「ん、わかった」


おとなしく言われた通りに目を閉じた。


そして、彼の背にぴったりとくっつく。


それからしばらく歩いたら、風に乗って芳しい香りが運ばれてきた。


あ、


懐かしいこの優美で甘い香りは。