「イオくん、まだ着かないの?」


電車を乗り継いでやって来た田舎町の小さい駅からバスに揺られること40分。


バスの停留所から歩くこと30分。


目的地にはまだ着かないらしくて、さすがに歩き疲れてきた。


舗装されていない砂利道だから、足が余計に痛くなる。


「つむぎは体力が無いな。ほらあと少しだから頑張れ」


「無理ー、ちょっと休もう」


「そんな調子だと日が暮れるぞ」


「だいたい、どうしてイオくんはそんなに元気なの?いつも車で送り迎えされてるくせに」


「俺をただの坊ちゃんだと思うなよ。毎日鍛えてるからな」


なぜか威張って言う彼に笑ってしまう。


「それで、いまどこに向かってるの?」


「んーそれはまだ秘密」


彼は涼しい顔で笑うと私の数歩前でしゃがみこんだ。


「ほら乗れ」