自由か、ほんとにそうなのかな。


だけどこれは束の間の休息のようなものにすぎないことはわかっていた。


だから、この貴重な1分1分を大切にしたかった。


だけど睡魔には勝てなくてフワッとあくびをして、彼の肩にもたれた。


「ほんの少しだけ寝るけど、すぐに起きるね」


「わかった、おやすみ」


彼は眠らないみたい。


電車はすいていたけど彼は誰かが通路を通るたびに、警戒するように気を配っている。


もしかしたら家から追手がかかるのを、心配しているのかもしれない。


いずれにしろ彼が四六時中、気を張っているということだけはわかった。


だけどそのことはあえて、私には言わなかったから気づかないフリをしていた。


互いに胸には別々のことを秘めているかもしれない。


けれど、離れたくない気持ちは同じだったから。