「あ、うん」


慌てて彼に笑いかけた。


ぎこちない表情をしちゃったかもしれないな。


「つむぎ、昨日はあまり眠れなかっただろ?大丈夫か?」


「そういうイオくんだって、遅くまで地図を見たりパソコンでいろいろ調べてたじゃない」


昨夜の旅館では同じ部屋だったけれど別々の布団で眠った。


イオくんは旅館から借りたパソコンで調べものをしていたみたい。今日行く場所を考えてくれていたようだった。


2人ともスマホは自宅へ置いてきた。


今時、スマホを持ち歩かないなんて何をするにもおぼつかない。


けれど、私達の居場所を特定されたくなかったので置いていくしかなかった。


不思議とスマホが手元にないと、世界から切り離されたみたいな不安とそして、自由を感じた。